【平成 29 年度の研修者報告】
・島根大学の教育プログラム・コース研修報告
地域包括ケア連携人材養成コース(インテンシブ)
・今年度のトワイライトセミナーについては限られた回数しか参加できませんでしたが、トワイライトセミナー等で培った地域包括ケアへの見識を生かして、研修会での講演の発表につなげることができました。今後も、これまでのセミナー等で得られた知識や人脈を、地域包括ケアシステムの構築に生かしていきたいと思います。(事務)
・大変勉強になり業務にも活かすことができました。今後も地域包括ケア推進担当として、知識の習得、業務への反映を行います。(医師)
総合診療医・内科総合医育成コース
・学会や講演会に参加することで家庭医療や総合診療に対する知識を身につけることができた。2年後の専門医取得に向け、ポートフォリオを意識しながら日々の診療や勉強に取り組みたい。(医師)
地域包括ケア人材養成コース(医療経営重点)
・昨年度に引き続き、大学院での講義および地域包括ケア実習で地域包括ケアに関する地域課題とその解決方法について知見を得ることができた。特に、地域包括ケア実習では、他地域の医療機関での取り組みを学ぶことができていると感じる。大学院生としてのみならず、現職場の支援センター職員としての気づきも多い。これまで考えていた方向性以外の視点をもち、地域課題解決に向けた取り組みのヒントを得ることができたことも、自分自身にとって大きな収穫であった。本コースの履修についての満足度は非常に高い。次年度以降もさらに学びを深め、地域包括ケア推進にかかる研究を進めたい。(理学療法士)
地域医療・地域包括ケア指導者育成コース
・大学院での研究を通して、地域で集積されたデータから新しい知見を論文等にまとめて、共有していくことを学びました。蓄積されたデータには、地域による医療機関へのアクセスや医療資源配分等、これからの地域医療・地域包括ケアにおける課題を考えるための情報が得られる可能性があるため、今後も解析に取り組んで行きたいと思います。(事務)
・神戸大学の教育プログラム・コース研修報告
グローバルリーダー養成育成コース
・2018年1月に、フランス(パリ)にある、Marie-Lannelongue 病院にて2週間の研修をさせていただきました。手術を入り口として、フランスの地域医療についても勉強させていただきました。中規模病院でもすべてに救急外来も設けておらず、また、病院ごとに治療する疾患を特化させることで手術症例を限られた病院に集約化しており、呼吸器外科という領域においては、ドレーン管理が必要なければ、すぐに退院として経過を診ておりました。このような治療体系が取れるのも、病院間の連携が非常に密であること、かかりつけの家庭医が必ず存在していることが非常に大きな役割を果たしていると感じました。2週間とはいえ、ここには書ききれないほどの驚きにあふれた研修でした。このように通常と異なる環境、言葉も異なる環境で勉強させていただく機会は非常に貴重であり、大きな刺激となりました。今回の見聞を生かして、日本語以外でのコミュニケーション技術もさらに磨きつつ、世界に出ていけるように日々の診療にも臨みたいと思います。(後期研修医)
・私は4週間、オーストラリアのメルボルンにあるAustin病院のICUへ留学しました。Austin病院は560床超の病床を有する急性期病院であり、人口約440万人を擁するメルボルンの中核病院としての役割を果たしています。地域の病院と連携して、救急患者や総合診療医であるGeneral Practitionerからの紹介患者の受け入れを行っていました。リハビリ病院とは別にGediatricと呼ばれる高齢者の回復期を専門に診る病棟も存在し、急性期から慢性期まで一貫した医療システムが形成されていました。短期間ではありましたが、医療制度の違いなども含め、話で聞くのと、実際に自分でみるのとでは大きな違いを感じました。今回の経験を通して視野が広がり、海外から取り入れるべき良い点も、逆に日本の医療の良い点もみる事が出来ました。今後、今回の経験を生かし、地域社会に還元できるよう努めていきたいです。(後期研修医)
なでしこ女性医師養成コース
・呼吸器内科の立原先生・茶屋原先生から、二人のお子さんの育児をしながら、第一線で医師として活躍されている日々についてご講演いただきました。 立原先生は、プロフェッショナルとして、やりたい仕事をしている充実感が伝わってきて、忙しすぎる毎日を楽しまれている様子が伝わってきました。目標とすべき姿だと感じました。茶屋原先生は少し近い立場から、小一の壁の乗り越えたご経験やその際に困ったことについてお話しいただき、未就学児をもつ女医として非常に参考になりました。 その後の質疑応答もあり、他診療科の女性医師の意見も伺える、非常に有意義な会でした。(医師)
・第一部では、片岡仁美先生に岡山大学での女性医師へのキャリアサポートの取り組みについてお話をしていただきました。女性医師が結婚・出産で離職してしまうことが多い現状で、岡山大学では復職しやすい職場作り、キャリア支援制度、育児期のサポートなど、様々な工夫や取り組みをされていて、動画では女性医師の方々が生き生きと活躍されているのがとても印象的でした。 第二部のワールドカフェでは、講演いただいた片岡先生とも直接意見をかわすことができ、今後の女性医師の働き方について、問題点・新たな可能性を考えることができました。職場だけでなく社会全体の意識を変え、女性医師が皆、生き生きと働ける環境にしていく必要性を再認識できるよい機会だったと思います。(医師)
総合診療医の研究スキル・高度医療習得支援コース
・私は小児科を専攻することを決めていたので、初期研修2年目の年に新生児蘇生法講習会に参加しました。小児や救急の領域とは異なる方も何人か知識を深めたい・純粋に興味がある、といったような理由で参加されていたことも印象的でした。実は半年ほど前に今回のAコース(専門)とは別にBコース(一次)を受講していたのですが、恥ずかしながら事前学習・当日の座学の段階から前回の講習内容の半分ほどしか覚えていないことが分かりました。受講後はやはり知識を得ることや医療現場で活かすことも大切ですが、継続のための努力を欠かさずに行うことの大切であると改めて実感しました。(初期研修医)
・今回嚥下、口腔セミナーに参加し、医師として研修を積んでいく中ではなかなか触れにくい内容について学ぶことができました。口腔ケアを行うことによって肺炎の予防になる、といった知識を持っていても実際にどのようなケアを医療現場で行っているのかは知らないままだったので、今後の診療を行っていく上でより口腔内にも気を付けて観察が行えると感じております。(初期研修医)
・兵庫医科大学の教育プログラム・コース研修報告
都市型地域包括ケア人材養成コース(インテンシブ)
私は、大阪北摂の病院に勤務している4年目の言語聴覚士です。本コースを受講した事により、地域包括ケアシステムへの理解を深めることができ、他職種の業務の重要性、チーム医療におけるにおけるコミュニケーションの大切さを、実感することができました。
現在、日本の高齢化率は27.3%を超え、超高齢社会に突入しました。肺炎は高齢者の死因第3位であり、言語聴覚士の業務の中でも、誤嚥性肺炎予防のためのリハビリテーションが重視されています。行政を含めた様々な観点からの講義を受ける事で、自身の職業が、在宅復帰への過程でどのような役割を担っているのかが、よく理解できました。
島根県川本町の加藤病院での研修では、認知症予防には地元特産品の荏胡麻の栽培とも関連させた、貴重な講義を聴く事ができました。また、認知症予防体操の実技を体験する事ができました。さらに、現地の、医療近接型住まいの内部を見学する機会を頂き、バリアフリーのために工夫を凝らした内部構造からは、家屋内での日常生活に潜む危険に対し、多くの気付きを得る事ができました。これらの体験をしたことで、地域医療における問題点と、それに対する取り組みを知る事ができ、これからの私の業務に大いに役立つと思います。
今回、インテンシブコースを受講する事で得た知見を生かし、患者さんの生活の質を向上することで、地域医療に貢献していきたいと思います。(言語聴覚士)
総合診療医育成コース
丹波、篠山市の地域医療の中核を担う兵庫医科大学ささやま医療センターで1年間、総合診療医育成コースを研修させていただいた。
入院患者の多くは高齢者で、90歳以上の方も珍しくなく、急性期を脱しても、嚥下機能の低下や、ADLの低下のため、なかなか退院できない方もたくさんいらっしゃった。その方を今後どのような形で、治療、サポートしていけば良いのか、リハビリを担当していただいている方や、看護師さん、地域連携の方、家族などと相談しながら方針を探っていく作業は大変な事ではあったが、地域医療を学ぶ上で大変貴重な経験であった。病気で入院してきている患者さんだけでなく、その家族や背景にまで配慮することが重要で、それはとても医師だけの力では不可能であり、各職種が協力しあい、相談しなければできないと痛感させられた。
週2回行われる内科の新入院カンファレンスは、他科の先生からの意見を伺うことができたし、医局には様々な科の先生が同じ部屋で過ごしているため、垣根なく他科の先生にも相談できる雰囲気であった。
一般病棟、地域包括病棟、リハビリ病棟があり、老人保健施設も併設されており、それらの役割や、つながりも学ぶことができた。急性期から慢性期までの流れを経験でき、充実した研修をおくることができた。(医師)
地域医療・包括ケア臨床研究コース(博士課程)
今回、地域医療・包括ケア研修として島根県石見川本町にお伺いし、地域の住民の方とともに、認知症に対する講義並びに実施研修として認知症に対する予防的運動療法の体験ならびに加藤病院の施設見学をさせて頂きました。
現在の高齢化社会において認知症は避けられない病態となっており、実際に発症してからでは進行を抑制したとしても、治療としては難しいのが現状です。
これに対して、認知症を発症する前より予防的に防げるようにするにはどうすればよいか世界中で議論されており、その中でも運動療法が予防に欠かせないというデータが提唱されています。
今回は認知症体操と題して地域の方々に阿部教授の講演を始め、認知症体操を実際に体験することが出来ました。
内容としては、おもに四肢の筋力や拘縮予防とともに、脳の活性化につながる運動が中心であり、作業療法士数名によりデモンストレーションが行われ、実践されました。地域の方々の認知症に対する関心度も非常に高いものがあり、積極的にディスカッションや議論がなされていました。
次に、加藤病院の施設見学をさせて頂き、地域に根付いた施設や建物を見せて頂きました。ベットや洗面所、入り口などにも細かい工夫がなされており、移動しやすい、住みやすい環境が設定されていました。今後在宅中心の医療の時代が予想されるため、このような環境は増加していくと述べられていたのが印象的です。
都心の病院勤務が続いており実際の地域医療の内容を肌で感じることができ、充分に満足できる内容となりました。
島根大学の廣瀬先生を始め、島根大学や加藤病院のスタッフの方々ともお話をすることが出来、これからは都心と地域の密着型病院の重要性が高まり、現在も需要が高いという貴重なお話を聞くことも出来ました。
この経験を活かし、今後とも地域に根付いた活動や医療に貢献できるよう、このような試みには積極的に参加していきたいと思う充実した研修を送れました。(医師)